お知らせ

「地域コミュニティとお寺の挑戦」パネルディスカッション開催報告

2020年11月14日、一般社団法人まちのtoolbox主催、「生涯活躍のまち・つる ビジネスプランコンテスト」第3回メンタリング&パネルディスカッションがオンラインにて開催されました。

前回に引き続き、ファイナリストに選ばれた5チームと、一緒にビジネスプランをブラッシュアップする12名のメンターの皆様、そして一般の方にもご参加いただきました。

当日の内容を簡単ではありますが、お伝えいたします。

パネルディスカッション「地域コミュニティとお寺の挑戦」

今回のコンテストのテーマでもある「生涯活躍のまち」については、石川県金沢市の「シェア金沢」が有名ですが、そちらは佛子園というお寺が発端となった社会福祉法人が運営しています。

都留市においてもそのような点から「生涯活躍のまち」が考えられるのではないか。そのような観点から第3回目となる今回は「人口減少社会における地域コミュニティとお寺の挑戦」というパネルディスカッションを行いました。

スペシャルゲストとして都留市を中心に様々な活動をされている下記お二人の住職にお越しいただきました。

スペシャルゲスト

桂林寺 副住職 織田 宗泰 氏 (桂林寺Facebookページ

耕雲院 副住職 河口 智賢 氏 耕雲院Facebookページ

自己紹介

織田 氏
「桂林寺は宝地区の金井にあり、副住職を担っています。金井という場所は、都留市では最初に人が住み始めた場所と言われています。というのも、夏は山から涼しい風が、冬は南斜面で陽だまりができ、都留市の中では夕方も遅くまで陽が当たって、住みやすい場所だからです。

桂林寺には地名の金井の由来となった叶が池(かのうがいけ)という池があります。願い事をかなえてくれる池ということでパワースポットとしてお参りに来る人がいます。水連や紅葉、しだれ桃と桜のコラボレーションなど四季折々の景色が楽しめます。約630年前に建てられたのですが、当時から池があったと言われています。都留市は山梨では郡内地域と言われていて、小山田氏の先祖代々のお墓があるお寺です。宗派は臨済宗で、禅宗のうちの一つになります。禅によって幸せに気づいてもらうという宗派で、身近に感じてもらいたいと思って禅カフェというものを行っています。」

河口 氏
「耕雲院は曹洞宗という宗派になります。湧水が有名な夏狩という地区で、太郎次郎滝という滝の前にあります。最近はこの滝を見に来る人が多いです。宗派を超えた活動をしていて、禅を世界へ、未来へというスローガンで活動していました。禅は、特に欧米でZENとして普及していて、最近ではマインドフルネスということで、逆輸入をされているような状況になっています。世界へ禅、仏教を普及しようという目標を持って、一方で地域を見ながら活動しています。」

お寺の抱える現状と課題について

河口氏
「お寺の現状は、厳しい環境だと思います。都留市には42件のお寺があります。お寺のほとんどが檀家制度、お布施で成り立っていますが、人口減少、お寺離れ、地域のあり方の変化といった様々な外部要因がお寺の運営には直結しています。

檀家制度は江戸時代に端を発しています。社会が変わる中でお寺の価値の再提案をしなくてはいけないと考えています。耕雲院は、620年前にできました。江戸時代以前のお寺の価値観は何だったのか。未来に必要とされている価値は何なのか。都留市という地域のあり方を見ながら考え実践していくことが必要かと考えています。」

織田氏
「お寺は格差の大きい業界だと感じています。まちの中にあったり、観光客が多い寺院もあれば、田舎にあって檀家がゼロ件に近いような檀家もあります。観光寺院などの中には経済的に余裕のあるお寺もありますが、都留市にあるお寺は檀家さんのお布施収入を頼りにしているところがほとんどです。都留市はお寺の数が多いので、檀家の数は相対的に少なく、和尚さんが兼業をしているところが多いです。私の父も市役所に努めていました。兼業をしていく中で、お寺を守ってきたという歴史があります。

ただ、兼業をすることでお寺がおろそかになることもあります。中には、跡継ぎの人がいても兼業している職業があるので、お寺を出て行ってしまうということも見られています。

社会がグローバル化する中で、若い人たちも都留市から離れて都市部、海外へ行っている人もいます。そういった中で、先祖代々守ってきた地元のお墓が、今の若者にとって荷物になっているのではないかという認識も出てきています。お寺のあり方はいったい何なのか。私達自身がそれを考えさせられる状況になっています。」

課題解決に向けた取り組みについて

河口氏
「全国にお寺がどれだけあるかご存じでしょうか。実は、全国で7万以上あります。コンビニの数は約5.8万なので、コンビニよりも多いことになります。曹洞宗だけで約1.5万のお寺があります。そのうち住職がいるお寺が1万から1.1万で、3分の1は住職のいないお寺になっています。山梨県はお寺が多い県で、1,500件ほどのお寺があり、人口比率に対して多いという特徴があります。そのうち曹洞宗は約550件で、住職がいるのは約300件の全体の約6割にあたります。お布施収入で経営しているお寺が立ちいかなくなってきています。その理由は、お寺に足を運ぶのが、人の死に対して向き合う時だけになってきたからだと考えています。

そうではなく、「生きるためのお寺づくり」、大切なコミュニティとしての役割があると考えています。過去では寺子屋などが挙げられます。学びの機関、役所の機関がお寺から生まれてきた過去があります。そういった過去の状況を見つつ、未来の寺子屋づくりをしています。核となるコミュニティづくりをするため、地域食堂、お寺ヨガ、写経など、人が生きる上で豊かになれるような環境づくりを行っています。」

地域での具体的な取り組みについて

河口氏
「地域食堂を行っています。最初は子ども食堂がきっかけでした。ただ、子ども食堂というイメージだと、貧困の子どもだけ参加できるといった形になってしまい、参加できる子どもとそうでない人の分断が起きてしまいました。耕雲院では、SDGsの「誰一人取り残さない」というテーマを掲げ、誰もが安心して来られる居場所としてのお寺を目指しています。運営面では都留文科大学の学生ボランティアが35人ぐらい来てくれています。それ以外にも、地域の調理師、ボランティアコーディネーター、ホテルのシェフ、地元の企業、市役所などの支援をもらいながら、食事として同じ場所で同じものを食べて同じ時を過ごす平等なコミュニティが形成されてきています。

都留文科大学は、もともと学生の9割が地方から来ているところなのですが、新型コロナウイルスの影響でオンライン授業となったため、地域にコミュニケーションを取れる場が少なく、孤独を抱えている学生が多くいました。地域食堂に関わることで、学生が地域のために考えるきっかけになるとともに、地域とコミュニケーションをとる場、自身の社会貢献意識、目標設定などが生まれる場となっています。活動については、地域食堂にとどまらず、学習支援、クリスマス会などさまざま活動をしたいという話が学生からどんどんあがってきてます。」

織田氏
「『マジ卍』という言葉が少し前に流行りました。卍というのは、幸せが集まる場所という意味になります。これは、地域のハブとなる場所のことだと思います。

人にあてはめて考えると、一人ひとりの心の中に卍があります。仏教用語でいう仏心です。悩み、苦しみの多い世の中に生まれているものの、本来私たちは幸せなんだ。そのことを伝えるのが私たちの役割だと思っています。

桂林寺は山の上にあり、都留市街からは遠い場所にあります。そのため、禅、仏教をできるだけ身近に感じていただくために、地域に出ていこうということで出張座禅会のような形で取り組んでいます。それが禅カフェです。

禅は堅苦しいイメージかと思いますが、誰もが縁側で語れるものが本来の禅のあるべき姿かと思っています。もともと禅は、日常に根差した宗教です。630年変わらずこの土地に残ってきたお寺が一緒にあるのは禅の教えがあるからです。これをみなさんに広く伝えていくというのが私たち僧侶の役目かと考えています。

これまで禅カフェに参加されるのは年配の人が多く、学生は少なかったのですが、できるだけ若い人に感じてもらいたいと思っています。お寺に行くとなると敷居が高いものの、カフェなどで行ってもらえると敷居が低いと言ってもらえるので、そのような敷居を下げる取り組みをしたいと考えています。」

お寺と収益の関係をどう考えるか

河口氏
「資本主義の外側にあるのがお寺の形だと考えています。しかし、資本主義の中でお布施のあり方が形骸化していると感じています。以前は、お寺が行う色々な活動がサステナブルであるためにお布施、寄付といったものを受け取るという形でした。それが少しずつ変わって、一部ではお金を要求するというような部分も出てきたこともありました。今後は「共感資本主義」的な自然発生的に生まれてくるあり方が大切なのではないかと考えています。クラウドファンディングなどによって世界的にみれば寄付市場は拡大しています。なによりも私達の活動を具現化、見える化して、これから必要なものとして認識してもらえるように実行していくことが大切です。そうすることで共感が生まれて『未来に残そう』という動きが出てくるのではないかと信じています。」

織田氏
「オンライン座禅会も禅カフェも収益はありません。ただ、活動に対して寄付をしてくれる人もいます。先日行われたオンライン坐禅会の時、時計の電池がなくなっていて、それに気づかず時間が伸びてしまいました。時間は自分の呼吸の数で計っていたのですが、朝6時半に終わらないといけないところ、2~3分延びての終了になってしまいました。そうしたところ、その翌日に知らない方から『時計の電池を変えてください』とお布施が届きました。これこそが本来のお布施のあり方かと思います。 東日本大震災の時には全国規模の被災地支援活動のプロジェクトを立ち上げたことがあります。その時にも500円貯金箱を近所の方が『使ってください』と渡してくださったことがあります。このようなものもお布施本来のあり方かと思います。」

最後に「ビジネスをする人に期待すること

織田氏
「人は一人では生きていけません。そして、すべてのものがつながっています。それは、ビジネスをやっていく上でも同じです。都留市には禅のお寺が多いので、ビジネスにもぜひ禅の教えを取り入れて実践をしてもらいたいと思います。

禅は実践であると言われています。ある人が、企業に「私がこれができます」という人を雇わないでください。「私はこれをやります」という人を雇ってくださいという話をしていました。ぜひ実践をしていただきたいと思います。

またお寺では帳簿を握放帳と言います。「握ったものは一度放しましょう」という意味になります。足し算ではなく引き算が禅です。このような考えを今後のプランに活かしていただければと思います。」

河口氏
「仏教とは何かというと、縁です。縁によってすべてが成り立っていると考えています。自分ひとりの世界にいると考えてみてください。その時に自分を証明するのは誰か。自分のしたいことを手伝ってくれるのは誰か。自分が作ったものを買ってくれるのは誰か。それはすべて、自分ひとりの世界では実現しません。人ともの、環境すべての縁があるから巡ってきます。それを忘れないでほしいと思います。

昨年、禅に関する映画を作り国際映画祭に招待され、チュニジアに行きました。チュニジアはアフリカ大陸の地中海沿いにあるイスラム教の国です。フランス領だったこともあり、フランスの文化の影響も受けています。そのような国に仏教の映画を持って行ったことになります。映画祭の直前にディレクターが亡くなったということを聞いたため、日本の宗教者として供養させてほしいということをお願いしました。般若心経を唱えたところ、来場者の方々もイスラム今日にも拘らず、みんな手を合わせてくれました。人が人を思う、人が人の幸せを願うのは世界共通です。自分だけの利益になるものではなく、いろいろな人の縁につながるものだと意識してほしいと思います。」

当日はこの後も様々な質疑応答が行われ、時間がオーバーしてしまいました。
桂林寺様も耕雲院様も上記に挙げた活動以外にオンライン座禅など様々な活動をされております。これもなにかの「ご縁」です。ご興味を持っていただけた方は是非公式Facebookページをチェックしてください。

桂林寺Facebookページ
耕雲院Facebookページ

次回、最終発表会が開催!

いよいよ次回12月12日(土)13:00~ ファイナリスト5名によるビジネスプラン最終発表会が開催されます。

内閣府が推進する地方創生の柱の1つ「生涯活躍のまち構想」。そのトップランナーである山梨県都留市で高齢化社会の課題を解決するビジネスを官民連携で産み出すためのビジネスプランコンテストの最終発表会です。

30以上のエントリーからファイナリストに選ばれた5チームが、2ヶ月間のメンタリングを経てブラッシュアップしたビジネスプランのプレゼンテーションを行います。

オンライン(Zoom)での開催となりますので、どなた様でもお気軽にご視聴ください。

下記にて詳細・視聴用URLのお申込(無料)をご確認いただけます。

https://20201212osusowake.peatix.com/view

どうぞよろしくお願いいたします。